コース幅の狭い鈴鹿ゆえ、新旧チャンピオンのバトルに注目が集まった。セクター1 からヘアピンにかけて僅かづつ詰めてきた#90 呉が、スプーン手前の右コーナーでアウト側から豪快に#1 KEN YAMAMOTO をパスする。わずかに水たまりの切れていたアウト側のラインを利しての仕掛けだった。こうして#90 呉良亮は毎ラップ、後続を5 ~ 10 秒も引き離す独走態勢に入る。
一方で中団グループにも異変が。最終戦でもGT4 クラスの2 台がヘビーウェットの中での扱い易さを武器に、レース開始直後からジャンプアップを重ねていたのだ。
まず育成ドライバーの#71 平安山良馬は、オープニングラップで10 位にまで浮上すると、続く2 周の間に#27 眞野壮一郎、#77MUSASHI、#9 小林賢二、#16 岸本裕之らベテランの常連勢3 台を次々とオーバーテイクして5 位に浮上。4 番手で雨ながら安定したペースを刻んでいた#84 Masa TAGA を、さらには2 位を守っていた#1 KEN YAMAMOTO をも攻略し3 位に躍り出て、あまつさえ6ラップ目にはレース中の暫定ファステストラップとなる2 分26 秒054 を刻んだ。レース終盤にトップを行く#90 呉良亮が2 分25秒302 で最終的なレース・ファステストを確定させるが、#71 平安山はスタート時点で30 秒以上あったトップからのギャップを一時は約5 秒も縮めたほど遜色ないペースで走って見せ、ケイマンGT4 クラブスポーツのポテンシャルを巧みに引き出していた。